有機・無添加食品、ミールキットの通信販売で人気を誇る上場企業、オイシックス・ラ・大地株式会社。
その代表取締役会長を務めるのが、藤田和芳(ふじた かずよし)さんです。
藤田和芳会長は、有機農業の普及を40年以上にわたって取り組む過程で、有機農産物の販売を手掛けたり、有機野菜の宅配サービスとの統合を図り今の会社の形を作り上げてきました。また、冬至の夜8時〜10時の2時間でんきを消灯し、持続可能な社会などについて想いを馳せる取り組みである「100万人のキャンドルナイト」というイベントの呼びかけ人代表であったり、アジア農民の支援にも携わったりと、社会起業家の顔も持ち合わせている人物でもあります。
こちらの記事では、そんな藤田和芳氏の経歴・学歴などを総まとめでご紹介し、何かと世間を騒がせた過激な発言や中核派のうわさについてもご紹介していきます。
名前: 藤田和芳 (ふじた かずよし)
生年月日: 1947年2月6日
出身: 岩手県胆沢郡胆沢町(現・奥州市)
学歴・出身校: 上智大学法学部
役職: オイシックス・ラ・大地会長
まず初めに、多くの方が気になっていると思われる、藤田和芳氏の中核派のうわさと、藤田氏がXにて炎上した件について触れておきます。
藤田和芳の中核派のうわさは本当なの?信憑性は?
藤田和芳は中核派か。トリチウムの入ってるオイシックスの野菜は不買運動だな。 https://t.co/F14ldZ4K6x
— 池田信夫 (@ikedanob) February 13, 2024
藤田氏のXでの反原発発言を受けてか、ネット上には「藤田和芳氏が中核派のメンバーなどでは?」といった説が出ているようです。
さらには著名人である池田信夫氏がXにて、「藤田和芳は中核派か。トリチウムの入ってるオイシックスの野菜は不買運動だな。(上記X投稿)」 という発言をしており、気になっている人も多いようです。
中核派とは、革命的共産主義者同盟全国委員会という日本の政治団体であり新左翼党派の一つとされています。
過去には天皇制反対を掲げて1990年に京都市の京都御所に金属弾を撃ち込むなど全国で124件のゲリラ事件を起こしていたり、成田空港建設に伴う近隣民家立退の際に大規模なデモを展開したりと何かと世間を賑わせていたようですね。
俗に言う過激派といったところでしょうか。
最近では、この成田空港での成田新法事件などへの関心が下火になったことから、反原発運動が中核派のターゲットになっているという話があります。
さて、話を戻しまして藤田和芳氏が中核派だという説はどれほど信憑性があるものなのでしょうか。
次のような情報があります。
「大地を守る会」が経営統合をして現在のオイシックスになる前、初代の会長には藤本敏夫という方がその職に就いておられました (現在は他界されています。) 藤本氏は歌手の加藤登紀子の夫であり、このことは「大地を守る会」の公式HPにも掲載されている事実です。
そして、この藤本氏がどういう人物であったかというのが、こちらの記事に綴られており、そこでの内容を一部以下に抜粋します。
(「大地を守る会」に関して、、、)
初代会長は、藤本敏夫(歌手・加藤登紀子の夫と言った方が分かりやすいかも知れない)である。藤本は、左翼運動の経験者であるならば、知られた存在である。元反帝全学連の委員長であり、神田カルチエ・ラタン闘争(大学の多くが立地していた神田地区を、机などでバリケードを築いて警官隊と衝突した事件)で起訴され、実刑を食らい、出所後、入獄中の農業体験を踏まえて有機農業運動に取り組んだという経歴の持ち主である。これが過去の左翼運動の間違いを反省して、真の環境保護に目覚めたのであれば、我々としても共闘するに吝かではない。ところが、有機農業運動の名を借りた、新たな左翼運動の再編であるのだから、ことは容易ではない。
次の会長(同会の内紛で、藤本は追放されたのだが、これも左翼の通弊といってもよい事態である)である藤田和芳は、元中核派の活動家である。藤田は、ごく限られた都会の消費者組織だった同会を、少なくとも全都レベルにまで拡大し、今や農林行政の深部にまでシンパを増やしている。また同会の創立メンバーの殆どが、元左翼活動家であり、生協に巣食う現役の活動家と連携して、着々と勢力の拡大を図っている。
ただこちらの記事のソースには、署名などがされておらず、おそらく「seinensya」という媒体が発行しているであろうことのみが分かる物です。
藤本氏の発言と中核派をすぐに結びつけるのは少し短絡的すぎるようにも思えますし、政治志向などは結局のところ本人のみが知る事実なのではないでしょうか。
過激発言の全体的な経緯とは?いったい何があった!?
2024年2月12日、藤田和芳氏はXにおいて、福島第一原発の処理水放出に関して以下のような発言をしました。
東京電力は、福島原発の放射能汚染水を海に流し始めた。今ある汚染水を海に流し終えるまで20年かかるという。その後、除去できないトリチウムを含む放射性物質を海に流し終えるまでは、さらに20年かかるという。こうしたことに誰がいったい責任を持てるというのか。原発は恐ろしい魔物である。
これが炎上したのをきっかけに、オイシックス社の株価にも悪影響を及ぼしたり、同社が自社ホームページで釈明文を掲載するなど対応に迫られたのでした。
【オイシック社の公式コメント】
「今回の藤田の発言内容は、当社の考えとは全く異なり、不必要な不安を煽り、根拠のない風評被害に発展する可能性があるものとして、極めて不適切で容認できるものではないと考えております」とした上で「本件に関しましては、本人に厳重注意を実施し、後日、懲罰委員会を開催し、処分について決定いたします」と、今後懲罰委員会による処分を行うことを明かした。 「改めて、この度はご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございませんでした。深くお詫び申し上げます」
また、藤田氏自身もXにて謝罪せざるを得なくなったこの出来事は、SNSを始めネット上の記事で話題を集め、今後のオイシックス社の動向が注目されています。
考え方によっては、これらの一連の発言はある種藤田氏の長年の思考から溢れでたものであると捉えるのが自然とも言えますので、謝罪に関しても単なる表向きのアピールだとされても仕方ないのかもしれませんね。
また、オイシックス社の顧客の中には有機・無添加食品など圧倒的健康志向で藤田氏の行き過ぎた発言などを支持する傾向にある人が一定数いるのではないかという点も指摘されています。
それではここから藤田氏の学歴や経歴について順を追って見てみましょう。
藤田和芳の学歴・経歴とは?岩手県出身の出版社勤務から有機農業へ
藤田和芳氏は、1947年に岩手県胆沢郡胆沢町(現・奥州市)に生まれ、岩手県立水沢高等学校に通っています。
水沢高等学校は、岩手県の南に位置し、偏差値54程の進学校ですね。
そしては卒業後、上智大学法学部に進学しました。私立大学において言わずと知れた名門校である上智大学の法学部は偏差値約70という超エリート学部です。現在は上場企業の会長という立派な地位に就いている藤田氏ですが、やはり学生時代から頭脳明晰な人物であったようですね。
大学を卒業した藤田和芳氏は、一時出版社に勤めていましが、自身が20代である、1970年代には有機農業に関心を持ち始めていたそうです。
当時、農薬や化学肥料の使用増加によって環境や健康への影響が問題視されていたその頃、有機農業の先駆者である藤本敏夫氏と出会い、彼の影響を受けたこともその後の藤田氏の方向性を決めていったようです。
「大地を守る会」を設立し、有機農産物の販売を始める
ここからは、藤田和芳氏の経歴の中でも特に突出した部分を掻い摘んでご紹介していきます。
1975年に、出版社を退職した藤田氏は、藤本敏夫らと共に有機農業の普及を目的としたNGO「大地を守る市民の会」を立ち上げました。
この団体は、有機農産物の販売や、消費者と生産者の交流などを行い、1977年には「大地を守る会」を設立し販売事業を中心に株式会社化。
この時藤田氏は同社の代表取締役社長になっています。
「農薬に頼らない野菜を作る人と、その野菜を食べる人を結ぶことで、自然豊かな大地を広げていこう」「食べる人と食べものを作る人が末永く健康でいられるために、そして、大地の健康を守るために。自然環境と調和した、生命を大切にする社会を築いていこう」というのが創業からの一貫した藤田氏の思いのようです。
このような理念に共有して、オイシックス社の有機・無添加食品を支持している方も多いのではないでしょうか。
SNSでの発信でもその健康的な食事ぶりが伺えます。
2月14日の私の朝ご飯。ミニトマト(群馬県やさい耕房伊勢崎)と水菜とロメインレタス、サクラマス一夜干しとカリフラワー、キュウリ(高知県高生連)と蟹風味蒲鉾(鹿児島県松野下蒲鉾)入りジャガイモマッシュ、白菜塩漬け、豆腐と葉玉ねぎとカブの葉の味噌汁、ご飯、牛乳、朝鮮人参酒。東京は快晴。 pic.twitter.com/mbaxGo4Ydk
— 藤田和芳 (@DWMK_fujita) February 14, 2024
「オイシックス・ラ・大地」への経営統合や社会起業家としての取り組みについて
2016年、大地を守る会はOisixとの経営統合を発表し、2017年に新会社「オイシックス・ラ・大地」が発足しました。
代表取締役社長には、統合先である有機野菜の宅配サービス「Oisix」を立ち上げた高島宏平氏が、そして会長に藤田氏がそれぞれ就任しました。その後2018年に「オイシックス・ラ・大地」は、有機野菜の個別宅配サービス「らでぃっしゅぼーや」とも経営統合を行い、自然派食品宅配業界の最大手へと変貌を遂げたのでした。
藤田和芳氏の活動は、単に有機農業の普及や食の安全・安心の提供にとどまりません。
それは2003年に始まった「100万人のキャンドルナイト」のイベントや、アジア農民元気大学などの社会運動への参加など、社会問題の解決や持続可能な社会の実現といったビジョンとも密接に関わっています。
2007年ニューズウィーク日本版の「世界を変える社会起業家100人」に選出
そんな藤田氏の活動が評価を受けた一つの好例が、ニューズウィーク日本版の「世界を変える社会起業家100人」への選出でしょう。
このニューズウィークが「世界を変える社会起業家100人」の選出基準としている「社会起業家」は、環境問題や農業、途上国支援、貧困救済などの分野で社会貢献を目指しながら、その活動を「ビジネス」として成立させることで持続可能性を実現している起業家であり、リーダー的人格者としての素質も見られているとされています。
企業活動を通じての藤田氏の取り組みは、有機野菜ビジネスの先駆者として、「食の改革」を推進してく中で環境問題・社会問題の解決を進めてきたことがしっかりと評価されたといえるのではないでしょうか。
まとめ
今回の記事ではオイシックス・ラ・大地株式会社会長・藤田和芳さんについて、彼の学歴・経歴や中核派説などについてご紹介しました。
藤田氏の生涯に渡っての有機農業推進の活動は、企業活動に留まらず、彼の社会企業的な多くの取り組みについてがよく分かりましたよね。
ただ、やはり会長という立場にある人の言動はその一挙手一投足が注目されることになるわけで、多少行き過ぎた発言によって社会に大きな影響を与えてしまうということも間違いないでしょう。
これまで築き上げてきた功績がこれからの社会でどう評価されていくのか、今後の藤田にも注目しましょう。