【養子として迎え入れられた家庭で死亡したジョンインちゃん(生後16カ月) 】
あるテレビ番組の放送によって明るみにされた一人の幼い子。
韓国のテレビ局・SBSの追跡報道番組『それが知りたい』では、2021年1月2日の夜に『ジョンインちゃんは何故死んだのか?-271日間の加害者と傍観者』という特番を放送しました。
そこで明らかにされたのは、女児は生後7カ月ごろに養子に迎え入れられた「ジョンインちゃん」に対し、その後、養母から暴行が繰り返され、昨年10月に死亡したというものでした。
その放送を観た多くの韓国人の方たちが、SNSなどを通して怒りと悲しみに満ちたコメントとともに、
「#정인아 미안해(ジョンインちゃん、ごめんね)」というメッセージを発表する運動「ジョンインごめんチャレンジ」が大きな話題となっているのです。
この記事では、現在韓国で話題になっている「ジョンインごめんチャレンジ」の詳細を分かりやすく解説し、
その背景や、今回の運動に参加している著名人の方々の動きなどをまとめて紹介します。
大きな社会問題に発展した養母による養女ジョインさんへの暴行
冒頭でも説明しましたが、今回の「ジョイン、ごめん」チャレンジのジョンインちゃんは、養女として迎え入れられた家で養母によって虐待を受け亡くなってしまった女の子のお名前です。
現在、虐待をしたとして、養女は「児童虐待」の罪に問われ、養父はその行為を傍観したとして「児童福祉法違反」の罪で裁判を控えています(裁判は1月13日)。
養父母はソファから落ちたなどと主張しているそうですが、ジョンインちゃんの腕や脚は骨折し、膵臓(すいぞう)は破裂していたといいます。
また、今回の事件でもう一つ大きな問題となっているのが警察の対応です。
実は、保育園職員や医師から合計3回にも渡って虐待の疑いで通報を受けていたようですが、「証拠不十分」や「監視カメラの確保が難しい」といった理由でその通報をうやむやにし、事実上黙殺していたとして大きな批判を受けています。
国民の請願を受け付ける大統領府のホームページでは「死刑でも足りない残酷な犯罪」として殺人容疑適用を求める訴えに約23万人以上が賛同。その数は今現在も増え続けています。
著名人も続々と参加している「ジョインごめん」チャレンジの内容とは?
今回の「ジョインごめん」チャレンジとは、一言で言えば
「幼い死を防げなかったことをオンライン上でわびる追悼の動き」です。
SBSの報道番組『それが知りたい』の司会を担当していた俳優のキム・サンジュンさんは、番組の最後を、
「ジョンインちゃん、本当にごめんね。守ってあげられなくてごめんね。あまりにも知るのが遅くてごめんね‥」
と締めくくったそうです。
幼い死を防げなかったことをオンライン上でわびる追悼の動きには人気グループ「BTS」メンバーも参加。
厳罰要求も強まっています。
ジョンインちゃんの養母の虐待と警察の対応まとめ
なぜこのような事件が起きてしまったのでしょうか。
生後16カ月のジョンインちゃんの体には幼児が耐えられるとは思えない「傷」の数々が残されていたといいます。身体の痣 (あざ) だけではなく、死因となったとされる「すい臓の破裂による腹部損傷」などです。
養母が行っていた虐待はとても卑劣で許せる行為ではませんが、今回の件について警察が虐待を見逃していたことも非常に罪深いことと思えてなりません。
ジョンインちゃんを救えるタイミングはいくつもあったそうです。
以下に通報された内容とその時の警察の対応をまとめます。
//ジョンインちゃんの幼児虐待に関する通報//
- 【1回目の通報】
異変に気付いたジョンインちゃんの保育園の先生たちが病院へ連れて行き、診断結果を基 に警察に通報
→警察は「証拠不十分」という理由で捜査終結 - 【2回目の通報】
ジョンインちゃんが長時間車内に放置されていることに気付いた近所の人が警察に連絡
→警察は「監視カメラの確保が難しい」という理由で捜査をうやむやに - 【3回目の通報】
ジョンインちゃんを診察した医師が「ジョンインちゃんを養父母と分離しなければ危険」 という趣旨で通報
→警察はこれを黙殺
このような幼児虐待の捜査を放棄しているといっても過言ではない警察の対応が大きな議論を呼んでいます。
これまでにSNSで「ジョインごめん」チャレンジに参加している著名人たち
・JIMINさん(BTS)
・女優ハン・ヘジン
・ファン・イニョン
・ソ・ヒョリムハン・チェア、
・歌手Simon D
・オム・ジョンファ(歌手・女優)
「愛だけをもらわなければいけないこの小さな天使を残酷に虐待し、殺した人たち。何度通報しても証拠がないとまた突き返される法によって、罪のない子供たちが死んでいます。病んでいます。とりわけこのように法が軽いのはなぜですか」とし、「酒のせいで、知的障害のせいで、このようなことが理由になりますか、命ですよ。罪のない生命、保護して守ってあげなければいけません。力のない生命へのすべての暴力は、もう本当に全部強力に防がなければいけません。心苦しいです」というコメントも掲載。